《お話付き》音色

アジサイの音色
少女がハンドベルのれんしゅうをしに、家の近くの里山にいきました。
家で音をならすのはあまりよくないことだと、おうちの人にいわれたからです。
少女が里山につくと、手にもっていたかごの中からハンドベルをとり出しました。
少女がハンドベルをならそうとすると、足もとでだれかの声がしました。
見ると、小さなスズランの花がありました。
スズランが、「のどがかわきました。水をください」というので、少女は池から水をくんできて、スズランにかけてやりました。
すると、スズランは元気になって、からだをゆらして「チリン、チリン」という音色をならし、少女に聞かせてくれました。
少女がスズランの音色を聞いていると、後ろからだれかの声が聞こえました。
後ろをふりむくと、ホタルブクロの花がありました
ホタルブクロが、「のどがかわきました。わたしにも水をください」というので、少女は池から水をくんできて、ホタルブクロにかけてやりました。
すると、ホタルブクロは元気になって、からだをゆらして「カラン、コロン」という音色をならし、少女に聞かせてくれました。
少女がホタルブクロの音色を聞いていると、となりでだれかの声がしました。
見ると、アジサイの花がありました。
アジサイが、「のどがかわきました。わたしにも水をください」というので、少女は池の水をくんできて、アジサイにかけてやりました。
すると、アジサイは元気になって、花びらをゆらして「ポワン、ポワン」という音色をならし、少女に聞かせてくれました。
少女がアジサイの音色を聞いていると、空から水がおちてきました。
森にやさしい雨がふりました。
少女が木の下で雨やどりをしながら、手にもっているハンドベルをゆっくりとふってみました。
「リーン、リーン」という、いい音がなりました。少女は、心ゆくまでベルの音色をひびかせました。
雨がやむと、里山中の花とはっぱも、いっしょに音色をかなでました。
音色を聞いた動物たちが、つぎつぎとあつまって、みんなで合奏(がっそう)しました。
ハンドベルからは、音のしずくがキラキラとふりそそぎました。
雨ふり花といわれるアジサイが、きれいにさく季節(きせつ)のできごとです。

さいとうあかり
サイトウアカリぬくもりと透明感のあるイラストで、物語の世界を描く
誰しもがこどもだった時代があります。
昔こどもだった大人たちも、今のこどもたちも、共感できるようなイラストレーションを描きたい。
そのような思いで制作しています。
こどもの姿・身の回りのもの、物語を描くことが好きです。
透明感のあるやわらかいタッチで、物語を演出するように絵を描いています。
イラストレーションをみてくださる方に、絵の世界に触れる喜びと素敵な時間をお届けしたいです。
女子美術大学卒業/埼玉県在住
大学では、ヒーリングアートプロジェクトに参加し、小児病棟などに設置する壁画をチームで制作していました。
その後、輸入玩具会社で販売の仕事、こども向け造形教室の講師を経て、現在はフリーランスとして活動しています。
東京7期昔ばなし大学再話研究会に所属
2019〜2020年 基礎コース
2020〜2021年 再話コース
2022年〜 研究会
○制作環境:透明水彩、鉛筆、ペン、パステル、MacBook pro、iPad pro、EPSONスキャナー、procreate、affinity designer、affinity photo、Adobe Illustrator、Adobe photoshop
著書:絵本『おちたらワニにたべられる!』(集文社)
オリジナル紙物雑貨ブランド:『カランコエ雑貨店』の商品企画・販売
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