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問題の多い交差点/Problematic intersections

はやはらよしろうORIGINAL お気に入りにクリップ中 お気に入りにクリップ

一度、時間のあるときに通勤通学時間帯の交差点を観察してみてほしい。


連中、磁石で反発し合っているのかと思うくらい、見事なまでにぶつからず、すれ違っていく。文字通り「交差点」を、縦横無尽にだ。その様はまるで計算されたマスゲームのよう。お見事、としか言いようがない。


だが、もし街の中心部、国道に面したような大きな交差点から信号機が消えたとしたら、どうなるだろうか。


「なんだか今日は、妙に表が騒がしいな」


街に活気があるのはいいことだ。俺は事務所のくたびれたソファに寝転び、電子パイプをくゆらせていた。
そろそろ昼時だ。

リョウの奴、まっすぐ帰って来いと言ったのに、一体どこで油を売っているんだか。


土曜の昼飯は、駅前の洋食屋のランチと決めている。土日は近隣の会社が休みだから、店内はまるで時が止まったように静かで、ゆったりとした時間が流れる。


目当ては「王様のたまごサンド」だ。ふわっふわの半熟たまごを挟んだ逸品。食後のウインナーコーヒーに、セットで付いてくるシナモンクッキーも密かな楽しみのひとつだった。


ガタンガタン! ドドド!


階段を駆け上がる音と共に、リョウが事務所のドアを壊さんばかりの勢いで飛び込んできた。


「アニキ、大変だ!」
「リョウ、どうした。そんなに慌てて」


「交差点のし、信号機が……消えちまった!」
「はあ?」

見てくれよ、とリョウが指さした窓の外。そこにあるはずの信号機が……ない。西に2基、東に2基、歩行者用信号もひっくるめて、影も形もなくなっていた。


「なんてこった、いつからだ」
「わかんねえ。朝は確かにあったんだ。そこら中大混乱してる」


大混乱、と呼ぶべきかは微妙なところだった。
あるはずの信号が消え、戸惑いながらも車やバイク、歩行者に自転車、果てはベビーカーまでが、混沌とした交差点に吸い込まれていく。さながら交差点の「闇鍋」状態だ。


行くべき時、止まるべき時。ルールが消失したのだから当然だが、彼らは譲り、譲られ、絶妙な呼吸で進んでいく。これでみんなが手を繋げば、見事なフォークダンスだ。オクラホマミキサーでも大音量で流してやろうか。いや、余計なお世話か。


それにしても、連中の「あうんの呼吸」は実に見事だ。オーライ、オーライ。……でも君、歩きスマホは厳禁だぞ。


「アニキ、見ろよ!」
窓から身を乗り出したリョウが叫ぶ。「新しい信号がやってきたぜ!」


通りの向こうから、土煙を上げて4本の信号機を積んだキングサイズのトレーラーが爆走してきた。海外のドキュメンタリー番組に出てくる巨大建機のような、デカすぎる化け物車だ。


タイヤひとつで、俺たちのいるビルの3階に届きそうな高さがある。その図体に似合わず、音もなく停止したトレーラーから巨大なアームが伸びた。
アームは手際よく、信号機の柱を次々とあるべき場所へ埋め込んでいく。観衆(俺を含む)が唾を飲み込む暇もないほどの早業だ。

作業を終えたトレーラーは、「パアンッ」と景気よくクラクションを一発鳴らし、そのまま走り去っていった。


突然連れてこられた信号機たちは、しばらく困惑した様子で「お先にどうぞ」とばかりに赤や青を譲り合っていた。だが、次第に「こっちが青のときは、そっちは赤ね」と取り決めができたようで、ようやくいつもの律儀な仕事ぶりを見せ始めた。


リョウが呆然と呟く。


「なんだったんだ……夢でも見てたってのか……?」
「まあ、終わったことだ。怪我人も出なかったんだ、万々歳だろう」


「昼飯行くぞ」と、俺は上着を掴んで立ち上がる。
「待ってくれよ!」と慌ててついてくるリョウ。


王様のたまごサンドと、シナモンクッキー。


ちょうど信号が青に変わる。ツイてる。

今日はラッキーだ。

https://www.instagram.com/reel/DYcM61tk1oR/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

Title: Problematic Intersections
If you have a moment, I want you to observe a busy intersection during rush hour. It’s a marvel. Everyone manages to pass each other without a single collision, almost as if they’re magnets repelling one another. It’s a flawless, chaotic “mass game” performed in four directions. Truly impressive.
But what if the traffic lights suddenly vanished from a major intersection in the heart of the city?
“It’s awfully noisy outside today.”
Well, a lively city isn’t a bad thing. I was sprawled on a worn-out sofa in the office, puffing on my electronic pipe. Lunchtime was approaching. Ryo was late again, despite me telling him to come straight back. I wondered where he was loafing around.
On Saturdays, I always have lunch at the Western-style diner in front of the station. Since the nearby offices are closed on weekends, time feels like it’s stopped there—slow and peaceful. My heart was set on the “King’s Egg Sandwich,” a fluffy, soft-boiled masterpiece. The cinnamon cookie that comes with the post-meal Vienna coffee is another secret pleasure of mine.
Clatter! Thud, thud, thud!
The sound of someone sprinting up the stairs echoed before Ryo burst through the office door with enough force to break it.
“Boss, it’s a disaster!”
“Ryo, calm down. What’s the rush?”
“The traffic lights… they’re gone!”
“Huh?”
I followed Ryo’s pointing finger to the window. Sure enough, the signals that were supposed to be there—two to the west, two to the east, even the pedestrian ones—had completely vanished.
“Good grief. Since when?”
“I don’t know! They were definitely there this morning. The street’s a mess!”
Well, “a mess” might have been an exaggeration.
Even without the rules of red and green, the cars, bikes, pedestrians, and even parents with strollers were negotiating the void. They yielded, moved, and paused with an uncanny rhythm. If they all held hands, it would look like a folk dance. I felt like blasting “Oklahoma Mixer” out the window. But I refrained. Everyone was moving in perfect sync. “Hey, you—no texting while walking.”
“Boss, look!”
Ryo leaned halfway out the window and shouted. “The new ones are here!”
Through a cloud of dust, a king-sized trailer carrying four brand-new traffic lights came roaring down the street. It was the kind of monstrous vehicle you’d see on a documentary about giant excavators. It was so massive that its tires reached the third floor of our building.
Despite its size, the trailer stopped silently. A giant arm—God knows where it came from—extended and began planting the signal poles into the ground one after another. Before the gasping crowd (myself included) could even swallow, the job was done. The trailer let out a sharp “Honk!” and sped away.
The newly installed signals looked confused at first, blinking red and blue as if politely offering the way to each other. Eventually, they seemed to agree—”When I’m green, you’re red”—and settled into their usual, diligent routine.
Ryo muttered blankly, “What was that? Was I dreaming?”
“Well, it’s over now. No one got hurt, so let’s call it a win.”
“Let’s get lunch,” I said, grabbing my coat.
“Wait for me!” Ryo scrambled after me.
The King’s Egg Sandwich and that cinnamon cookie were waiting. Just as we reached the curb, the light turned green.
Lucky us.

はやはらよしろう

はやはらよしろう

ハヤハラヨシロウ
ユーモアでクスッと、楽しく伝わるイラストレーション。

ふと窓の外に目をやるとベランダに遊びに来た小鳥と目が合って、「なあに?」とちょこんと首をかしげている。

移りゆく平凡な日々の中で、なんでもない、クスッと笑える、ほんの小さなできごと。そんなひとつひとつの積みかさねが幸せを育むのだと思います。

その世界観をイラストレーションでお届けします。どんなときでもユーモアあふれるひとでありたいと思うとともに、魔法のようになんだって表現できるイラストレーションで、自分の感じたことをユーモアたっぷりに楽しくお伝えし、受け取った方がクスッと笑ってくださったら、、! こんなに嬉しいことはありません。

お問合せフォーム yoshiro★cup.com https://yoshiroo.net/ https://www.behance.net/yoshiroafbe
パソコン環境 Mac OSX 14.1.1
納品形態 Photoshop CC(フォトショップPSD/EPS形式)切り抜き納品可能

ABOUT
ドローイングのタッチで人や物を
誇張したり省略したり、楽しく表現します。
静止画でありながらも、思わず声を上げたくなるような、
前後の物語を感じるイラストレーションを心がけています。

本名のひらがな表記で、
はやはらよしろうとして活動しておりますが、

一緒に頑張ってきた屋号を大切にしたい
という想いから、たとえばイラスト掲載、ブックデザイン、
装画などで奥付に名前を掲載してもらえるときには、
はやはらよしろう(Office 446)と記載していただいています。

[はやはらよしろう/プロフィール]

1975年生まれ、大阪市在住。2000年よりイラストレーターとして活動。
制作会社退職後、2010年Office 446設立。
「ユーモアでクスッと、楽しく伝わるイラストレーション」を軸に
ユーモアあふれるタッチで人物、動物、ものを描く。
広告、書籍装丁、医療関係、保育書籍、教材、新聞記事などの案件がメイン。
表紙絵・カットを中心に出版・広告・WEBなどで活動中。
またグラフィックデザイナーとして
カタログ・パンフレット・書籍・雑誌・ロゴデザインも手がける。

【主な仕事歴】
メディカ出版『早わかり人工呼吸ケア』書籍カバー
メディカ出版『ナースのお悩み相談室』書籍カバー
青春出版社『小学校で習った算数で経済がスッキリわかる!』書籍カバー
Z会出版『ZSTAR総合英語』書籍挿絵(全編)
文理「わからないをわかるにかえる中1英語」書籍挿絵
文理「わからないをわかるにかえる高校入試英語」書籍挿絵
共同通信社「ワークルールを知ろう」配信記事
共同通信社「プロ直伝 こども安全術」配信記事
主婦と生活社「NHKためしてガッテン」雑誌挿絵
小学館『プレNEO げんきの図鑑』書籍挿絵
朝日新聞社『就活パートナーブック』パンフレット
ダイキン工業『オール電化のくらし』パンフレット
宝島社『南極料理人直伝! 作りおきレシピ』書籍挿絵
宝島社『腸内フローラが整う腸食レシピ』書籍挿絵
宝島社『しきたりいろは図鑑』書籍カバー・書籍挿絵(全編)
小学館『週刊ポスト』雑誌挿絵
フレーベル館『キンダーブック3』雑誌挿絵
数研出版『コメット2』書籍挿絵
PHP研究所『今日は何の日? 366』書籍挿絵
PHP研究所『からだスマイル』雑誌挿絵
宝島社『日本人のしきたりいろは図鑑』書籍挿絵
宝島社『ひつじのショーン わくわく迷路ブック』書籍カバー・書籍挿絵
くもん出版『くもんの小学ドリル漢字6年生』書籍挿絵
朝日新聞出版『のりもの知育ぶっく』書籍挿絵
メディカ出版『透析ケア』雑誌挿絵
学研プラス『京大こどもパズル』書籍挿絵
学研プラス『名作おはなしれんしゅうちょう』書籍挿絵
文理『わからないをわかるにかえる英語_改定版』書籍挿絵
学研プラス『ごみと環境』書籍カバー・書籍挿絵
フレーベル館『がくしゅうおおぞら』雑誌挿絵
西東社『ねるまえおんどく366』書籍挿絵
学研教育みらい『はっけん!』雑誌挿絵
関塾『経営者会報ひらく』会報誌表紙
ファンケル『元気生活』会報誌挿絵
あかね書房『スッキリ&ハッピー!整理整とん』書籍挿絵
光文社『VERY』雑誌挿絵 など

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