脚ぶらーんガール/Legs-a-Swing Girl

おねえちゃんの靴は、いつもかわいい。
わたしの大好きなピンクで、つま先がきらきら光っていて、歩くと「コツ、コツ」って小さな星みたいな音が鳴る。
ママは言う。
「あなたには、まだ早いのよ」
まだ早いって、なにそれ?
朝ごはんみたいに時間が決まっているの?
しかたがないから、おねえちゃんがいないあいだに、こっそり靴をはいてみる。
お気に入りのワンピースに着がえて、そっと庭に出た。
ぶか、ぶか。
足の中で、靴が泳いでるみたい。
歩くたびに、ぐらり、ぐらり。
まだ早いって、歩きにくいってこと?
空はぴかぴかのいい天気。
だれも歩いていない道。
雲がゆっくり流れていく。
遠くで、汽笛が「ぽーっ」と鳴った。
いつもだれかの帰りを待つ、庭のいちばん景色のいい石の上に腰かけて、
足をぶらーん、ぶらーん。
すると、猫のグレーンがやってきた。
灰色だからグレーン。
猫じゃらしをくわえて、「ひまなら遊ぼうぜ?」って顔をしている。
ひまなわけじゃないの。
ぶらーんぶらーんは、しかたなくしてるだけ。
だって、ぶかぶかで歩けないんだもの。
だれも歩いていないし。
グレーンは、やれやれというみたいに肩をすくめて、
わたしの足と足のあいだに、するりともぐりこんだ。
あったかい。
雲は流れて、また別の雲も流れて、
気がつけば、空の色が少しずつオレンジに変わっていく。
夕方の匂いが、ふわりと鼻をくすぐった。
おねえちゃんとおそろいの靴を買ってもらって、
並んで歩きたい。
シール帳だって、おねえちゃんみたいな、
ちょっと背の高い棚に置いてある“ちゃんとした”のがほしい。
ぶらーん、ぶらーん。
あこがれって、なんだかすっぱい。
まだ青いみかんをかじったときみたいに、
きゅっと胸の奥がしぼむ。
ちょっとくらい背伸びしたって、
いいじゃない。
だって、いつかちゃんと、
大人になるんだから。
My big sister’s shoes are always adorable.
They’re my favorite color pink, sparkling at the toes, and when she walks they make a bright little click, click—like tiny stars tapping the ground.
Mom says, “You’re still too young.”
Too young?
Is that like breakfast—something that has a time?
So when my sister isn’t home, I sneak them on.
I change into my favorite dress and step out into the yard.
Big.
Too big.
My feet swim inside them.
Every step wobbles.
So “too young” means “too wobbly”?
The sky is shiny and blue.
No one is walking down the road.
Clouds drift slowly by.
Far away, a train whistles.
I sit on my favorite stone in the garden—the place where I always wait for someone to come home—and let my legs swing.
Swing.
Swing.
Then Grayne the cat appears.
He’s gray, so that’s his name.
He carries a piece of grass like he’s saying, “If you’re bored, play with me.”
I’m not bored.
I’m only swinging because I can’t walk.
Because they’re too big.
And there’s nowhere to go anyway.
Grayne shrugs in his cat way and curls up between my legs.
Warm.
Clouds pass.
More clouds pass.
The sky slowly turns orange.
Evening smells soft and sweet.
I want matching shoes.
I want to walk beside my sister.
I want a “proper” sticker book like hers—the kind kept on the high shelf.
Swing.
Swing.
Longing tastes sour.
Like biting into a green orange—
it makes your chest tighten.
But stretching a little taller—
that’s okay.
Because someday,
I really will grow up.






はやはらよしろう
ハヤハラヨシロウユーモアでクスッと、楽しく伝わるイラストレーション。
ふと窓の外に目をやるとベランダに遊びに来た小鳥と目が合って、「なあに?」とちょこんと首をかしげている。
移りゆく平凡な日々の中で、なんでもない、クスッと笑える、ほんの小さなできごと。そんなひとつひとつの積みかさねが幸せを育むのだと思います。
その世界観をイラストレーションでお届けします。どんなときでもユーモアあふれるひとでありたいと思うとともに、魔法のようになんだって表現できるイラストレーションで、自分の感じたことをユーモアたっぷりに楽しくお伝えし、受け取った方がクスッと笑ってくださったら、、! こんなに嬉しいことはありません。
ABOUT
ドローイングのタッチで人や物を
誇張したり省略したり、楽しく表現します。
静止画でありながらも、思わず声を上げたくなるような、
前後の物語を感じるイラストレーションを心がけています。
本名のひらがな表記で、
はやはらよしろうとして活動しておりますが、
一緒に頑張ってきた屋号を大切にしたい
という想いから、たとえばイラスト掲載、ブックデザイン、
装画などで奥付に名前を掲載してもらえるときには、
はやはらよしろう(Office 446)と記載していただいています。
[はやはらよしろう/プロフィール]
1975年生まれ、大阪市在住。2000年よりイラストレーターとして活動。
制作会社退職後、2010年Office 446設立。
「ユーモアでクスッと、楽しく伝わるイラストレーション」を軸に
ユーモアあふれるタッチで人物、動物、ものを描く。
広告、書籍装丁、医療関係、保育書籍、教材、新聞記事などの案件がメイン。
表紙絵・カットを中心に出版・広告・WEBなどで活動中。
またグラフィックデザイナーとして
カタログ・パンフレット・書籍・雑誌・ロゴデザインも手がける。
【主な仕事歴】
メディカ出版『早わかり人工呼吸ケア』書籍カバー
メディカ出版『ナースのお悩み相談室』書籍カバー
青春出版社『小学校で習った算数で経済がスッキリわかる!』書籍カバー
Z会出版『ZSTAR総合英語』書籍挿絵(全編)
文理「わからないをわかるにかえる中1英語」書籍挿絵
文理「わからないをわかるにかえる高校入試英語」書籍挿絵
共同通信社「ワークルールを知ろう」配信記事
共同通信社「プロ直伝 こども安全術」配信記事
主婦と生活社「NHKためしてガッテン」雑誌挿絵
小学館『プレNEO げんきの図鑑』書籍挿絵
朝日新聞社『就活パートナーブック』パンフレット
ダイキン工業『オール電化のくらし』パンフレット
宝島社『南極料理人直伝! 作りおきレシピ』書籍挿絵
宝島社『腸内フローラが整う腸食レシピ』書籍挿絵
宝島社『しきたりいろは図鑑』書籍カバー・書籍挿絵(全編)
小学館『週刊ポスト』雑誌挿絵
フレーベル館『キンダーブック3』雑誌挿絵
数研出版『コメット2』書籍挿絵
PHP研究所『今日は何の日? 366』書籍挿絵
PHP研究所『からだスマイル』雑誌挿絵
宝島社『日本人のしきたりいろは図鑑』書籍挿絵
宝島社『ひつじのショーン わくわく迷路ブック』書籍カバー・書籍挿絵
くもん出版『くもんの小学ドリル漢字6年生』書籍挿絵
朝日新聞出版『のりもの知育ぶっく』書籍挿絵
メディカ出版『透析ケア』雑誌挿絵
学研プラス『京大こどもパズル』書籍挿絵
学研プラス『名作おはなしれんしゅうちょう』書籍挿絵
文理『わからないをわかるにかえる英語_改定版』書籍挿絵
学研プラス『ごみと環境』書籍カバー・書籍挿絵
フレーベル館『がくしゅうおおぞら』雑誌挿絵
西東社『ねるまえおんどく366』書籍挿絵
学研教育みらい『はっけん!』雑誌挿絵
関塾『経営者会報ひらく』会報誌表紙
ファンケル『元気生活』会報誌挿絵
あかね書房『スッキリ&ハッピー!整理整とん』書籍挿絵
光文社『VERY』雑誌挿絵 など





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