森 流一郎
モリ リュウイチロウイラストレーションという名の小さな幸せを世に広めたい
私とイラストレーションとの出会いは、小学4年生の冬のことでした。
転校したばかりで友人もいなかった私は、休み時間を持て余していました。
その日は、持て余した時間を潰すために、学級文庫に並んでいた書籍の1冊を手に取りました。
表紙には、おどろおどろしいイラストレーションとともに『怪人二十面相』というタイトルが印刷されていました。
そのおどろおどろしいイラストレーションの魅力に抗うことができず、なんの予備知識もなく、『怪人二十面相』を読み始めてしまいました。
読み始めて間もなく、私はページをめくる手を止められなくなります。
私の魂は、書籍のそこかしこに描かれた怪しげなイラストレーションと不可思議な物語の虜になってしまったのです。
その日から、読書にのめり込む日々が始まりました。
江戸川乱歩をあらかた読み尽くすと、今度は図書室で推理小説やSF小説を片っ端から読んでいきました。
孤独だった少年時代の私にとって、物語とそのイラストレーションこそが一番の親友でした。
生頼範義さんや武部本一郎さんといった挿絵家は、私に小さな幸せを与えてくれたのです。
新しい書籍を読む度に小さな幸せを受け取ることで、いつしか私の中には大きな幸せが育っていきました。
かつての私が、イラストレーションから小さな幸せを受け取って孤独を乗り越えていけたようにーー
世の中の皆さんに向けて「イラストレーションという名の小さな幸せ」を発信することで、誰かの助けになりたい。
人々に幸せを届けたい。
そんな熱い思いで、プロ・イラストレーター団体「イラストレーターズ通信」の活動を続けています。
1964年大阪生まれ。
追手門学院大学 経済学部卒。
大阪デザイン専門学校 グラフィックデザイン科卒。
2018年ごろまで、フリーランスのイラストレーター。
現在はイラストレーターを引退し、「イラストレーターズ通信」の活動に専念している。
■ イラストレーターとしての受賞歴
・1991年JACA入選。
・1996年HBファイルコンペ木村祐二特別賞。第1回ペーター大賞入賞。第87回、97回ザ・チョイス入選。
・1998年ザ・チョイス年度賞川上成夫賞。
・1999年イラストレーションヨコハマコンペ入賞。
・第1回、2回 TIS公募入選。
・他、入選、入賞多数。
■ イラストレーターとしての主な仕事
・2002年より2003年 新聞小説挿絵『カシオペアの丘で』重松清/著 信濃毎日新聞・山陽新聞、ほかで連載。
・2003年より2006年 小説挿絵『なぎさの媚薬』重松清/著 「週刊ポスト」にて連載。
・2003年より2004年 小説挿絵『男好き』神崎京介 /著 『週刊女性』にて連載。
・2004年より2005年 小説挿絵『蜂起』森巣博/著 『週刊金曜日』にて連載。
・2005年 新聞小説挿絵『摘蕾の果て』大崎善生/著 『大分合同新聞』『函館新聞』『岩手日報』『山梨日日新聞』『日本海新聞』『長崎新聞』ほかで連載。
・2008年 新聞小説挿し絵「これから」杉山隆男/著 『北日本新聞』『南日本新聞』ほかで連載。
・2011年 小説挿絵「残夢」鎌田慧/著 『週刊金曜日』にて連載。
・他、新聞・雑誌で、多数の小説挿し絵を担当。
・ブックカバー『シズコズ・ドーター』キョウコモリ/著(青山出版社)、
・ブックカバー『霞町物語』浅田次郎/著(講談社)、
・ブックカバー『嗤う伊右衛門』京極夏彦/著(中央公論新社)
・ブックカバー『覘き小平次』京極夏彦/著(中央公論新社)
・他、多数の書籍のカバーイラストレーションを担当。
■ イラストレーターとしての展覧会
・HBギャラリー、ギャラリーハウスマヤ、ピンポイントギャラリー等で個展6回
・グループ展多数。