打ち合わせの時に制作過程のどのステップでご確認いただいたほうがいいか、ラフのラフさ加減はどの程度か、といったことをすり合わせるときに何かと便利なので制作過程もアップしております。
こちらは装画コンペに出した作品で、芥川龍之介の羅生門を題材にしています。時代は平安時代。大飢饉の最中の出来事です。
“そうして体を出来るだけ、平にしながら、頸を出来るだけ、前へ出して、恐る恐る、楼の内を覗いて見た。”
という、老婆が髪を引っこ抜くシーンの直前の一文をもとにしています。
老婆のシーンが有名なのですが、下人のターニングポイントはここだと思って描きました。
●完成形
●モノクロラフ
いくつか候補のシーンをピックアップしてモノクロでラフを制作しています。
●カラーラフ
モノクロに簡単に色をつけて大体の色のイメージを固めます。色についてのご要望がある場合は、通常はこのステップですり合わせを行います。
●完成に至るまでの迷走
入れたい要素や大まかな色についてはラフのステップで固めて、あとは無心で仕上げた方が制作時間は短縮できるのですが、こちらの絵では描き始めてから下人の服についてラフと違うっぽいぞ・・・と気づき、結構仕上げてしまってから大幅に変更しています。この絵はデジタルで制作していますが、デジタルであってもこのレベル感で変更すると大変時間がかかり大変です。ラフの段階で気づかないといけないなあとこれを書きながら反省しています。