友情/FRIENDSHIP

*
見るからにワルそうな転校生、ビリーのことは、はじめからどうにも気に入らなかった。 ガタイはでかいし、こんがり黄金色に日焼けしている。それになんだ、あのにやけたツラは。
緊急事態だ。 ショータがコンビニで、隣町のガッコーのヤツらにさらわれたらしい。 一緒にいた彼女のリョーコが、真っ青な顔で駆け込んできた。 なんでも、店を出た途端に待ち構えていた数人に囲まれ、ママチャリのカゴに縛り込まれて、連れて行かれたという。
行き先は港湾にある、例の廃工場らしい。 これは、ただじゃすみそうもない。
この半年、些細なことで対立してきたオレたちは、小さな小競り合いを繰り返してきた。 緊張は、もうとっくに限界まで高まっている。
――とにかく、無事でいてくれよ。
校門を出たところで、ビリーが塀に大きな体をもたれさせ、待っていた。
「よう。オレも行くよ。ショータには借りがあるんだ」
ろくに口もきいたことのない相手に、借りなんてあるはずがない。 そう思ったが、今は貴重な戦力だ。ありがたく同行してもらい、とにかく工場へ急いだ。
*
そして――。
*
「おい、大丈夫か? 男前が台無しだな」
「そっちこそだ……鼻血が止まんねえ」
顔は腫れ上がり、シャツは破れ、ボタンは飛び、ひどい有様だった。 肩を貸し合い、ふらつきながら歩く姿は、どうしようもなく情けない。
もっとひどいツラで病院へ運び込まれたショータは、弱々しく笑い、意外にも元気そうだった。
「なあ、ビリー。なんで来てくれたんだ」
「許せねえんだよ。女連れのとこを狙うなんて」
「そうか……助かったよ」
「いいんだよ。それより、オレのことはケンって呼べよな」
「わかった、健」
「ちがう。ケンだ。ビリー・ケンだ」
ゆっくりと、だが確実に。
まもなく沈む真っ赤な夕日に照らされて、
ふたりの影は、まっすぐ、ひとつに伸びていた。
ビリー・ケンとのサイコーの腐れ縁は、ここから始まる。 沈みかけた真っ赤な太陽を背に、ふたりはマブダチになった。
*
From the very start, I couldn’t stand Billy, the transfer student who looked like trouble incarnate. He was huge, his skin deeply tanned to a golden brown. And what was with that smug grin? This was an emergency. Shota had apparently been kidnapped at a convenience store by guys from a neighboring town’s school. Ryoko, who had been with him, came running in, her face deathly pale. She said that the moment they stepped out of the store, several guys surrounded them, tied Shota up in the basket of a mom-bike, and dragged him away. Their destination seemed to be that abandoned factory down by the docks. This wasn’t going to end quietly. For the past six months, we’d been clashing over the smallest things, repeating petty skirmishes again and again. The tension had already been pushed far past its limit. —Just… please be safe. Right outside the school gate, Billy was waiting, his large body leaning against the wall. “Hey. I’m coming too. I owe Shota.” There was no way someone I’d barely spoken to could owe him anything. That’s what I thought, but right now he was valuable muscle. I accepted his help without argument, and we rushed to the factory. *
And then— *
“Hey, you okay? That handsome face is ruined.” “You’re one to talk… I can’t stop the nosebleed.” Our faces were swollen, shirts torn, buttons flying—an absolute mess. The sight of us staggering along, supporting each other, was pitiful beyond words. Shota, who’d been taken to the hospital looking even worse than we did, gave a weak smile and seemed surprisingly lively. “Hey, Billy. Why’d you come?” “I couldn’t let it slide. Targeting a guy when he’s with a girl—that’s unforgivable.” “I see… thanks. You saved me.” “It’s nothing. But hey, call me Ken.” “Got it, Ken.” “No. Not that kanji. Ken. Billy Ken.” Slowly—but surely. Bathed in the light of the deep red sun about to sink below the horizon, the two shadows stretched straight ahead, merging into one.
This is where my greatest rotten bond with Billy Ken begins. With the setting crimson sun behind us, the two of us became best friends for life.








はやはらよしろう
ハヤハラヨシロウユーモアでクスッと、楽しく伝わるイラストレーション。
ふと窓の外に目をやるとベランダに遊びに来た小鳥と目が合って、「なあに?」とちょこんと首をかしげている。
移りゆく平凡な日々の中で、なんでもない、クスッと笑える、ほんの小さなできごと。そんなひとつひとつの積みかさねが幸せを育むのだと思います。
その世界観をイラストレーションでお届けします。どんなときでもユーモアあふれるひとでありたいと思うとともに、魔法のようになんだって表現できるイラストレーションで、自分の感じたことをユーモアたっぷりに楽しくお伝えし、受け取った方がクスッと笑ってくださったら、、! こんなに嬉しいことはありません。
ABOUT
ドローイングのタッチで人や物を
誇張したり省略したり、楽しく表現します。
静止画でありながらも、思わず声を上げたくなるような、
前後の物語を感じるイラストレーションを心がけています。
本名のひらがな表記で、
はやはらよしろうとして活動しておりますが、
一緒に頑張ってきた屋号を大切にしたい
という想いから、たとえばイラスト掲載、ブックデザイン、
装画などで奥付に名前を掲載してもらえるときには、
はやはらよしろう(Office 446)と記載していただいています。
[はやはらよしろう/プロフィール]
1975年生まれ、大阪市在住。2000年よりイラストレーターとして活動。
制作会社退職後、2010年Office 446設立。
「ユーモアでクスッと、楽しく伝わるイラストレーション」を軸に
ユーモアあふれるタッチで人物、動物、ものを描く。
広告、書籍装丁、医療関係、保育書籍、教材、新聞記事などの案件がメイン。
表紙絵・カットを中心に出版・広告・WEBなどで活動中。
またグラフィックデザイナーとして
カタログ・パンフレット・書籍・雑誌・ロゴデザインも手がける。
【主な仕事歴】
メディカ出版『早わかり人工呼吸ケア』書籍カバー
メディカ出版『ナースのお悩み相談室』書籍カバー
青春出版社『小学校で習った算数で経済がスッキリわかる!』書籍カバー
Z会出版『ZSTAR総合英語』書籍挿絵(全編)
文理「わからないをわかるにかえる中1英語」書籍挿絵
文理「わからないをわかるにかえる高校入試英語」書籍挿絵
共同通信社「ワークルールを知ろう」配信記事
共同通信社「プロ直伝 こども安全術」配信記事
主婦と生活社「NHKためしてガッテン」雑誌挿絵
小学館『プレNEO げんきの図鑑』書籍挿絵
朝日新聞社『就活パートナーブック』パンフレット
ダイキン工業『オール電化のくらし』パンフレット
宝島社『南極料理人直伝! 作りおきレシピ』書籍挿絵
宝島社『腸内フローラが整う腸食レシピ』書籍挿絵
宝島社『しきたりいろは図鑑』書籍カバー・書籍挿絵(全編)
小学館『週刊ポスト』雑誌挿絵
フレーベル館『キンダーブック3』雑誌挿絵
数研出版『コメット2』書籍挿絵
PHP研究所『今日は何の日? 366』書籍挿絵
PHP研究所『からだスマイル』雑誌挿絵
宝島社『日本人のしきたりいろは図鑑』書籍挿絵
宝島社『ひつじのショーン わくわく迷路ブック』書籍カバー・書籍挿絵
くもん出版『くもんの小学ドリル漢字6年生』書籍挿絵
朝日新聞出版『のりもの知育ぶっく』書籍挿絵
メディカ出版『透析ケア』雑誌挿絵
学研プラス『京大こどもパズル』書籍挿絵
学研プラス『名作おはなしれんしゅうちょう』書籍挿絵
文理『わからないをわかるにかえる英語_改定版』書籍挿絵
学研プラス『ごみと環境』書籍カバー・書籍挿絵
フレーベル館『がくしゅうおおぞら』雑誌挿絵
西東社『ねるまえおんどく366』書籍挿絵
学研教育みらい『はっけん!』雑誌挿絵
関塾『経営者会報ひらく』会報誌表紙
ファンケル『元気生活』会報誌挿絵
あかね書房『スッキリ&ハッピー!整理整とん』書籍挿絵
光文社『VERY』雑誌挿絵 など





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